シャーロット俳句勉強会 -9月度作品抄 2020 

九月、俳人正岡子規が生まれ、そして亡くなった月、九月は別名長月、菊月、紅葉月等と呼ばれ俳句には欠かせない月である。

子規はほととぎすの別名、子規本人が結核で血を吐くが、「鳴いて血を吐くほととぎす」にちなんで自らの雅号とした。

一方、面白いのはスポーツに余り興味を示さなかった彼が野球にはのめり込んだ。並大抵の趣味ではなく選手でもあり、近代野球界へも貢献している。

野球という言葉自体が彼の本名。升(のぼる)すなわち、日本語の野球の語源「野の球(ボール)」からきているのだ。彼は生涯54もの俳号を持つが、その中に盟友の漱石や野球もある。

短い生涯を病の床で過ごしながら、俳句に近代文学としての地位を確立して逝った子規、34歳。

糸瓜咲いて痰のつまりし仏かな  1902年9月19日  子規逝く

糸瓜の水は痰きりに効く。子規の忌を糸瓜忌とも言う。

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―9月の作品抄ですー

青田波夕日の沈むところまで         清裕

新盆や写真の母は笑みあふれ         清裕

銭湯に見知らぬ子らや盆休          清裕

Go To キャンペーン踏み出す一歩虫の声         千恵

指隠すその親もなき秋の風          千恵

かなかなと聞こえて足を速めけり       千恵

秋祭母の形見の青海波            美幸

夜も昼も金魚を守り布袋草          美幸

薄衣記念写真も庭先で            美幸

中々に動かぬ箏柱秋ついり          淳子

金柑の枝もたわわに色づきぬ         淳子

稲妻や雲従へて近づきぬ           淳子

朝とりと記すオクラのやや高値        敬子

手にあまる国産林檎のこのサイズ       敬子

さりげなく眺める空や処暑の月        敬子

唐黍や崩れし姿ポップコーン        かずみ

タイマーに任せ無花果煮る夜かな      かずみ

小遣を首にぶらさげ秋祭          かずみ

夜学生昼間の疲れ今しばし         イサ子

林檎園りんご列車はのろのろと       イサ子

星飛べり一つはUFOなるや        イサ子

カレンダーうめられぬまま夜半の秋     美和子

椋鳥の空一面のアートかな         美和子

カーテンを洩れし月光夢やぶる       美和子

ミニチュアも音鳴るやうや鹿威し       由美

コロナ禍に待ちし成田の残暑かな       由美

猛台風我が郷を飲む輪を持ちて        由美

朝霧に消ゆるルアーの放物線        モトコ

しりとりを時計回りに秋うらら       モトコ

古き映画の未来が過去になる夜長      モトコ

炎天に下校の子らの声響く         百々代

鰯食ふ回転寿司の皿重ね          百々代

秋風や同じこと反故隣り人         百々代

ひたすらに風待つコスモス波となる      一広

木の実降るひとつがあれば子の遊ぶ      一広

芒原道なきならば歩きたし          一広

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