今月の兼題に冬の季語(鬼やらい)を入れました。寒さがまだまだ続きます。
「鬼やらい」、アメリカに来た当初は、子供達の為にもと豆撒きをしてきました。子供の成長で豆撒きをしなくなった反面、俳句を始めたことで、豆撒きの習慣に興味が湧き、調べると、「鬼は外」は言わない地方があることが判りました。郷里、名古屋の大須観音では「鬼は外」は禁句で叫ぶのは「福は内」だけです。
有名な成田山新勝寺でも「福は内」だけのようです。この寒空に「鬼は外」では鬼が可哀想ですよね。それはさておき、鬼は悪の印象もありますが、人とは思えない程優れた才能の人を「鬼才」と呼びます。鬼はまた悪魔退治も致します。
病む妻の裾に豆撒く四粒ほど 秋元 不死男
春を待つ豆撒きにはこんな静かな句もあります。 一広
・
2月の作品抄です
・
・
植木鉢日差しに向ける余寒かな 清裕
冬晴れ間指先に住む静電気 清裕
プロ棋士の盤上没我冬の陣 清裕
鳥のこゑ冴へて聞こゆる余寒かな 千恵
公園に親子の姿春うらら 千恵
木々の葉を眩しきほどに薄氷 千恵
早咲きの知らせとあれど余寒なる 美幸
会ひたいと願ひを胸に福寿草 美幸
まんさくや進め進めと言ふやうで 美幸
愛猫の逝きて余寒の消えやらず 淳子
まとふれば母と見まがふ春ショール 淳子
ゆるゆると車窓掠める春の駒 淳子
この余寒刈上げ六ミリと宣言す 敬子
剪定は遠隔操作母の声 敬子
春兆すニューテイストの歯磨き粉 敬子
告白の夕日の中の蕗の薹 かずみ
受験終えポーカーフェースを解きにけり かずみ
余寒なほ半身浴で毒を出し かずみ
余寒かな愛犬の紐袖に入れ 美和子
春きざす小石の並ぶ百日膳 美和子
鴬餅母の手になる柔らかさ 美和子
一人っ子孤独をじつと待つ雪解 桜子
老の手に触れてしみじみ余寒かな 桜子
乱れ世や三寒四温も無きままに 桜子
父の声追ふ子の声や鬼は外 澄江
春泥や子は泥んこで夕餉まで 澄江
陽を受けてもう疲れたか雪達磨 澄江
いつまでも居座るコロナ鬼は外 祐子
せせらぎをうぶ毛で誘ふ猫柳 祐子
いつの間にお隣さんの梅ふふむ 祐子
隠したきことこんなにも春の雪 一広
山国の俚言もからめ雪解川 一広
父に会ふ道もどかしき蜷の道 一広
お仲間募集: 俳句に興味のある方、俳句は初めての方も歓迎です。ご連絡下さい
鈴木一広(Kazuhiro Suzuki)Email:ka.yariho3182@gmail.com