シャーロット俳句勉強会―2017年5月度作品抄

(*)今月の一句

花は葉に一時帰国の刻早し     由美

由美さんも皆さんに似て、日本のご両親の介護、看護で一時帰国が増えて厳しい生活が続いています。その環境の中でいつも早め早めと投句されています。桜の開花を前に日本入り、お父さんの容体も一応の安定を得て先日帰米されました。打出しの「花は葉に」は五月頃に見られる葉桜の事ですが同じ季語でも季節の移り変りを表す季語としてこの句にぴったりです。一応の仕事を終えてほっとしてみたらもう葉桜の季節、時の過ぎる早さを改めて感じさせる一句です。

 

船遊び考批もそこにおぼろにて      千恵

カーネーション母の旅路にそっと添へ   千恵

紫陽花に時のうつろひ母偲ぶ       千恵

鯉のぼり父と並んで風待てり        美幸

今日はまた今日の色して七変化          美幸

噴水の揺れるトンネル抜ける子ら      美幸

落し文おとす誰かの通ひ道         淳子

丘に立つ我待つ如し二重虹         淳子

紫陽花の雨の雫の数珠のごと        淳子

噴水や遠くに騒ぐ子らの声         敬子

雨くるか蛙と私空みてる          敬子

春風を頬に二人で駅の道          敬子

山里へたどり着きたり七変化        精孝

木漏れ日にひそかに立てり九輪草      精孝

燕来て話題豊かとなる夕餉         精孝

五箇山の春や民謡シャカシャカと     きなこ

鯖寿司を求め車窓の人となり       きなこ

落し文墓標の事を話す道         きなこ

夏山の名もない花のそこかしこ      イサ子

荒磯や又もひと吠え青嵐         イサ子

噴水を囲みし子等のはしゃぎ声      イサ子

夏場所も老いたる父の目にうつろ        由美

役終へて喉爽やかに缶ビール         由美

花は葉に一時帰国の刻早し           由美(*)

紫陽花やそぼ降る雨の中の色          かずみ

苺狩り背のをさな子も手を伸ばし        かずみ

聖五月待ちに待ったる巴里旅行         かずみ

紫陽花に空の色さし朝の庭         みどり

噴水の朝のしじまの無音界         みどり

湖岸まで吹き寄せられし落し文       みどり

紫陽花の新種の招き客となり        桜子

菖蒲湯や「学生時代」くちづさみ      桜子

手作りの洗剤厨に光る夏          桜子

万葉の人もかくやと花筵          一広

剪定のもしやいぢめと言ふ行為       一広

噴水の頂点を折る風の朝          一広

☆『俳句』を詠むなんて、ちょっと自分には難しそう…..と思っていらっしゃる方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。まずは興味をもつことから始まります。『俳句を詠んでみたいな』と思った方は、お気軽にご相談ください。初心者も大歓迎です。

お問い合わせ先:KAZU SUZUKI  俳句誌「沖」同人  俳人協会 会員
<ka.yariho3182@gmail.com>