夏河を越すうれしさよ手に草履 与謝蕪村
コロナ事件で旅も思う様に出来ないご時世ですが、旅はやはり楽しいもの。遠くへ行けないご時世ですが、7日9日は浅草の「ほうずき市」翌10日が四万六千日(しまんろくせんにち)といって、この日にお参りすれば四万六千日お参りしたのと同じ功徳があると言われ、人がどっと押し寄せる。俳句を志す者にとっても忘れない夏の季語。肉体的な苦労をいとわず心を込めてお願いする事もせずに、楽が出来る事にしたのは慈悲深い観音様?お寺のお坊さん?そこで一句、
“夫婦らしほうずき市の戻りらし” 高浜虚子
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―7月の作品抄ですー
屋久杉と共に千年岩清水 清裕
幼子の膝にこぼれる豆ご飯 清裕
寝息へと誘うリズムの団扇かな 清裕
梨狩りや逆さ立ちをる実がひとつ 千恵
幼手に余るメロンのしずくかな 千恵
気がつけば団扇片手に父の真似 千恵
紫陽花に誘われ昇る庭の道 美幸
艶姿並ぶ小路や梅雨晴間 美幸
手土産は末摘花の和菓子かな 美幸
大きさも色も取り取り梅雨きのこ 淳子
夏暁の色走り行く山幾重 淳子
腐葉土に隠れ時待つ梅雨の茸 淳子
カタカタを押す得意げな瞳かな 敬子
解体の重機響くや男梅雨 敬子
荒梅雨やボリューム上げてカーラジオ 敬子
ががんぼやそなた見かけはサイボーグ かずみ
麦茶にも母におよばぬもの見つけ かずみ
蛇の殻驚く声に驚けり かずみ
夏空にオーラを放つ星条旗 恵利奈
「ギャッツビー」を気取るつもりのパナマ帽 恵利奈
梅雨出水祭祀で願ふ民の幸 恵利奈
夏服やまたもやサイズワンアップ イサ子
をちこちに母待つ子鹿の群なりや イサ子
夕涼みさみしきソーシャルディスタンス イサ子
波待ちのサーファーの背に陽のあふれ 美和子
初蝉や木陰を探す庭仕事 美和子
張り替えの網戸に止まる虫の群 美和子
フィナーレは医療従事者巴里祭 由美
夫の為ビザ申請の溽暑かな 由美
独立記念日花火中止の広場前 由美
虎刈りを隠しきれない夏帽子 モトコ
帰省子の見様見真似の炭坑節 モトコ
重機来て草いきれごと刈ってゆく モトコ
父の日や父の父知る寺の道 一広
紫陽花のこゑ聞くやうや朝の雨 一広
残したき砂文字崩し男梅雨 一広
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お仲間募集: 俳句に興味のある方、俳句は初めての方も歓迎です。下記迄ご連絡下さい。
鈴木一広(Kazuhiro Suzuki)Email:ka.yariho3182@gmail.com