シャーロット俳句勉強会 -9月度作品抄 2022 

俳句に関わる者にとって9月という月は忘れられない。近代俳句を再生した正岡子規の誕生月であり、又亡くなった月でもあるからだ。

子規は言葉遊びの俳諧を陳腐と否定し芭蕉の詩情を高く評価した。和歌も辞麗句の言葉に走る「古今集」を否定し「万葉集」を高く評価した。写実である。

34歳と言う短い生涯で子規が成し得た文学への貢献は大きいが、素晴らしいのは、子規の生き様の見事さであった。

後年、病に臥しつつ「病牀六尺」を書くが、少しの感傷も暗い影もない。野球の好きな子規は明治の野球界に貢献、平成14年に野球殿堂入りを果している。

野球と言う言葉は子規の幼名の升(のぼる)を「野ボール」と読ませたものだ。

実際、子規は「野球」を俳号にも使った時期がある。病をも客観的に見てしまう。明治の俳人、時世の句も又すばらしい。   一広

糸瓜咲いて痰のつまりし仏かな    子規

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9月の作品抄です

関は処暑白河超える優勝旗      清裕

鯊日和満ち潮狙ふ釣り上手      清裕

永代の供養を思案墓参        清裕

虫の声のみを残して夜も更けぬ    千恵

夕暮れや刈ったばかりの草の香    千恵

小さき手で数えてみたき鰯雲     千恵

豚汁の豆腐は大切り夫好み      美幸

三ツ矢サイダー父の遺影の花に添ふ  美幸

露の世の雲間を抜けて空の父     美幸

化粧箱みっしり詰まる路地蒲萄    敬子

故郷の梨なつかしき薄緑       敬子

秋夕焼けふの溜息天に投ぐ      敬子

手を止めて写真整理の夜長かな   美和子

降り立った異国の空に鰯雲     美和子

美酒に酔ひ月に酔うてか千鳥足   美和子

抽斗に秋物探す朝目覚め       澄江

己が影踏む名月や風呂帰り      澄江

ふと襲ふ寂寥感や秋の暮       澄江

富士見たさだけの急坂この残暑    一広

それぞれの誓ひを胸に草の絮     一広

廃村の跡は雲行く大花野       一広

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鈴木一広(Kazuhiro Suzuki)Email:ka.yariho3182@gmail.com