葡萄の美味しい季節;
米国に越して来た頃、誰もが葡萄を皮ごと食べる事に驚いた。日本では、皮から中身を押し出して食べるのが当然だったので、皮ごとポイと口に放る米国人の姿に「さすがワイルド」と目を丸くしたものだ。実のところ米国産は皮が薄くて中身が堅く、種なしでそのまま食べられる品種なのである。プチッと弾けるみずみずしい皮と、サクリと爽やかな米国の葡萄の食感は今では大好物。
旬の葡萄が出回り始めた夏から、冷蔵庫の葡萄在庫は切らしていない。洗って入れておくと、誰の仕業かいつの間にやら減っている。冷蔵庫を開ける度のつまみ食いもまた一興。 モトコ
*
まづ置いておけば必ず減る葡萄 稲畑 汀子
*
*
9月の作品抄ですー
畦道はここと教える曼珠沙華 清裕
秋祭り老いが指揮とる寄付集め 清裕
言葉無き喪服の列や秋暑し 清裕
虫の声帰りの道は子を背なに 千恵
畦道にともしび一つ曼珠沙華 千恵
秋空にフリーハンドの雲遊ぶ 千恵
父の笑み映して欲しや今日の月 美幸
あるじ居ぬ部屋にも優し秋の風 美幸
天体ショー見るが如きに秋落暉 美幸
虫の声次から次と明け知らず 淳子
茶屋街や着物姿のさやけくて 淳子
宵の月流るる雲と隠れん坊 淳子
直売の声賑やかに葡萄畑 敬子
叩きたし叩きたくなし蚊の名残 敬子
名月の語り返してくれさうな 敬子
ジェットラグ午前三時のちんちろりん かずみ
長き夜の夫二度見する顔パック かずみ
野分聞く残りカレーで済ます夕 かずみ
山里の大きな闇の虫しぐれ 美和子
紫蘇の実の小皿の並ぶ二人膳 美和子
星月夜寝転んでみる長ベンチ 美和子
ペディキュアの剥がれていたりきりぎりす
モトコ
今朝の秋寝癖に乗せる蒸しタオル モトコ
聞き流す噂話や木樵虫 モトコ
コロナ禍の手作り団子月夜かな 桜子
守れいのち前例のない野分かな 桜子
黒蒲萄病む女の力となれ 桜子
群なれど何故か寂しき彼岸花 百々代
閃々と秋の海原一人旅 百々代
母の言ますます深し秋深し 百々代
名月や寂しき程に美しく 澄江
ちぎれ葉の飛び交ふ様や初嵐 澄江
高階の窓に届きし虫の声 澄江
空蝉は銃後の守り爪硬き 一広
ずさりしてスカイツリーや秋高し 一広
がちやがちやが鳴くもう子らが来る頃か 一広
*
*
お仲間募集: 俳句に興味のある方、俳句は初めての方も歓迎です。ご連絡下さい
鈴木一広(Kazuhiro Suzuki)Email:ka.yariho3182@gmail.com