8月7日は立秋です。俳句は季節に合わせた季語を使う文学です。私達も秋を詠います。
日本は将来を見つめ、アジアの諸国に先駆け太陰歴から世界標準の太陽暦に変えました。
この為、俳句の季語とは約一か月の季節差を感じます。一方、季語の中にも生活や行事
に関しては太陽暦に合うものもあります。例えばクリスマス、母の日等はその例です。
ですから、俳句に慣れた我々は今の季語集をそのまま使います。俳句は本来、季節に感じる
感性で詠いますから、何も猛暑に中で涼しい月の夜を詠う必要もないのです。
他方、季語集の素晴らしさは時々の状況に見合った季語がちゃんと用意されている事です。
例えば、立秋なのに暑い日が続きます。その時秋の季語に「残暑」と言う季語を見つけます。
酢のものを欠かさぬいく日残暑かな 石川桂郎
先の俳人協会会長の豪快な句: 道路、橋、埠頭、桟橋秋暑し 鷹羽狩行
今の季節は季語より一か月は早いと思いますが、私達は感性と季語の選択で作句できます。
季語をよく理解して秋の静けさや豊かさを詠いましょう。 美幸
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8月の作品抄ですー
一休みやがて熟睡籐寝椅子 清裕
青葉闇廃棄自転車垣間見え 清裕
盆供養正座の辛き年となり 清裕
終戦日忘れぬ父の語り草 千恵
蔓の間に小さき西瓜の縞模様 千恵
一列の光となるや露の玉 千恵
再会の願ひよ叶へ星祭 美幸
竹の春子らには子らの道を行く 美幸
たわわなる蒲萄はワインとなるを待ち 美幸
留守宅のお帰りなさいと蝉時雨 淳子
雨後の朝母と仰ぎし竹の春 淳子
鳴く蝉をそっとしてやる掃き掃除 敬子
ぢぢばばの家みたいねと蚊遣の香 敬子
盂蘭盆やささやくやうに経をあげ 敬子
溢れる湯大浴場は日焼けの子 かずみ
七夕の願ひの中の鏡文字 かずみ
夏真昼ハンディファンを右左 かずみ
竹の春十三歳の金メダル 美和子
タオル乗せ盥の中の西瓜冷え 美和子
秋の日や黒板アートの洒落たカフェ 美和子
千ピースのパズルを広げ夏座敷 モトコ
蝉時雨ロボット掃除機充電中 モトコ
絵日記の太陽笑ふ終戦日 モトコ
天の川里は佐渡よと胸を張り 桜子
蜩や犬の死紛らす苗育て 桜子
お洒落して父と腕組み星祭 桜子
終戦日父を語りし旅となり 百々代
真鶴へ茂りの下を姉妹旅 百々代
烏賊に添ふ檸檬かじれば海の風 百々代
亡き人のベッドに届く月明かり 澄江
リハビリの帰りの車窓鱗雲 澄江
汗だくに微風たまはる有難さ 澄江
鬨の声かとも古城に初嵐 一広
ぬばたまの黒髪待ちぬ星の恋 一広
墓参り幽霊話今もなほ 一広