シャーロット俳句勉強会 – 5月度作品抄 – 2019

あっという間に5月も終わりに近づき、メモリアル・ウィークエンドがやってきました。いよいよアメリカの『夏』の始まりですね。

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五月五日は鯉のぼり、清々しい初夏です。でも俳句に親しむ我々には同じ五月五日に生まれた俳人小林一茶がまず浮かびます。江戸期の俳句には三つの頂点があって、元禄時代の松尾芭蕉、天明期の与謝蕪村、そして化政時代の一茶。

芸術を志し江戸を目指した芭蕉、蕪村に比べ一茶の門出は余りにも憐れです。三歳で母を失い継母に男子が生まれたことから悲劇が始まります。母の仕打ちに気弱な父は十五歳になった時江戸へ立たせます。武家出身の芭蕉らに比べ、一茶は小百姓の出、苦労を重ねながら京都、大阪、九州、四国と放浪を続けながら各地の句会でその才能を開花させていきます。強い者への反撥、弱い者、幼い者への深い愛に満ちた句が生まれました。

「雀の子そこのけそこのけお馬がとおる」。そして晩年になって結婚した妻を、子供達を次々に失います。晩年になっての名句:「これがまあついのすみかか雪五尺」。一茶の句は今もなお、私達の心に励ましを与え続けております。―では我々の五月の作品抄ですー

―作品抄―

大牡丹主客のやうな昼の卓         百々代

泊まり込み父看取る子に若葉風       百々代

そら豆をむきつ語るは父の事        百々代

絹さやの緑にからむ卵とじ          清裕

あさり汁砂一粒に歯を浮かす         清裕

理髪店客のうたた寝春うらら         清裕

風受けて川面行くよや鯉のぼり        美幸

母の日の小さなブーケ抱く母         美幸

あいの風に乗せ一歳を重ねけり        美幸

主来ると知るやに咲けりジャカランダ     千恵

この地にも似たる鳴き声不如帰        千恵

たちまちに庭埋め尽くし雹の玉        千恵

朝凪や窓にせはしき鳥の声          淳子

草取りもほったらかして旅に出る       淳子

穀象の何時の間にやら忍び居り        淳子

徒長枝を取る傍よりの蜂の音         敬子

街路樹の実も見たく無し油照         敬子

土地の味甘きたれ垂れうみうなぎ       敬子

カーネーションよりもいつもの長電話    かずみ

「どうしてる」子に促すやカーネーション  かずみ

母の日やあらためて見る母子手帳      かずみ

青空や千紫万紅薔薇の苑          恵利奈

風薫る三種の神器目の当たり        恵利奈

豆飯と割り箸の香の懐かしき        恵利奈

母送る落ちてなほ咲く椿かな        イサ子

夏野行くせせらぎの音に誘はれて      イサ子

窓越しの結葉揺らす朝の風         イサ子

風薫るネモフィラの青見晴かす       美和子

衣更空へも飛んで行けさうな        美和子

青葉風森の奥より嬰の声          美和子

新しき信者生まれる聖五月          由美

新築のGAZEBO新茶の香立つ午後三時     由美

インスタ映えねらふ躑躅の自撮りかな     由美

夏近し雲を蹴飛ばす逆上がり         モトコ

柏餅泣き面の頬緩めけり          モトコ

軽トラが泥跳ねてゆく鰻捕り        モトコ

目借時夢と現の交差点            一広

移り行く御代美しき花は葉に         一広

はらはらと葉を打ち行けり虎が雨       一広

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鈴木一広(Kazuhiro Suzuki)Email:ka.yariho3182@gmail.com