まだ暑い日は続きますが、アメリカでは5月末のメモリアルデーを夏の始まり、9月の第1月曜日のレイバーデイを夏の終わりと考えます。夏の終わりはすぐそこです。皆さん、楽しいなつをすごされましたか?
俳句の会の皆さんの夏の作品をどうぞご覧ください。
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開墾のはじめは豚と一つ釜 依田勉三
この方は明治のはじめ北海道の開拓に当たった人です。未開の地に入植し見事成功した人もあれば、泥炭地にぶつかり夢やぶれ挫折した人も少なくありません。真冬は零下三十度以下にもなる十勝平野で、農民の住宅がやっと人間並みになったのは昭和も戦後のことです。
歴史は流れ、冬期オリンピックが開かれ、一方石狩水域泥炭地も世界銀行の融資などで見事な縁野に生まれ変りました。今の北海道には大自然の息吹と美しさがあるのです。私達の俳句も、正に豚とひとつ釜の苦しい段階ですが、先にはこんな夢がありましょう。
―八月の作品抄ですー
夏の旅竜飛岬に道果てる 清裕
譲られし席に安らぐ大暑かな 清裕
朝採りの茄子の艶良しキューと鳴く 清裕
文化祭客をもてなす夏切茶 美幸
幼子の我が子重ねる水遊び 美幸
滝風や心清めるしぶきかな 美幸
不揃ひも林檎味濃し里の味 千恵
雨上り草の匂ひや秋立ちぬ 千恵
水澄むや全てを映す吾も中に 千恵
夕立や洗濯物へ足速む 淳子
背泳ぎは水面の葉影に背をゆだね 淳子
食べ方も決めないままの茗荷の子 淳子
手のひらで旨味推算紅林檎 敬子
金風の大桟橋に「さんふらわあ」 敬子
木戸口のもろこしにメモ付けてあり 敬子
新盆や笑顔作りて輪の中へ 桜子
夏バテに効くと薬膳友の店 桜子
お抹茶を飲む体験や夏祭 桜子
花魁の髪にさしたし唐菖蒲 かずみ
烏賊バターじゅるじゅる踊る夏館 かずみ
喉駆けるガギグゲゑぐし茗荷の子 かずみ
夏逝くや最後の笑みを特攻士 恵利奈
古都に居るごとし水面の母子鹿 恵利奈
慰霊碑にやさしく語る終戦日 恵利奈
今朝も又トマトのサンド厚切りで イサ子
あれこれと思ふのみにて盆の過ぐ イサ子
ぽたぽたと舗道をたたく椚の実 イサ子
腹ばいで団栗かかへ栗鼠可愛い 美和子
八月も休み無きまま夫の留守 美和子
庭へ出る矢庭に走る流れ星 美和子
ライブジャズ曲間を繋ぐ法師蝉 由美
苦瓜を供えてしばし母の黙 由美
家族写真父姉もゐる菊日和 由美
誰彼の首の白さや揚花火 モトコ
とめどない思ひ出話蚊帳の中 モトコ
ライオンの骨噛み砕く熱帯夜 モトコ
ひとつ落つまた病葉のひとつ落つ 一広
若さとは海山が好き夏が好き 一広
虹消えて話けりつく垣根越し 一広
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鈴木一広(Kazuhiro Suzuki)Email:ka.yariho3182@gmail.com