食欲の秋、私達の作品抄にも新米とか走り蕎麦などの食の句や又月を愛でる句が多く詠まれましたが、そんな秋ももう暮れます。来月は早々に立冬が待ち受けていますので、次回の勉強会の句は冬の季題に入ります。でも寒い季節はまだ遠く七五三のお祝いなど俳句には事欠かない季節です。

新米の届きて知るや友の無事　　　　　　　　　清裕

大空は青いキャンパス鰯雲　　　　　　　　　　美幸

ふと目覚め箪笥に探る秋のセル　　　　　　　　美幸

待宵に古里思ふ同じ空　　　　　　　　　　　　美幸

おむすびに紫蘇の実入れし母思ふ　　　　　　　千恵

朝顔や垣根に競ふ青と赤　　　　　　　　　　　千恵

葡萄踏むスカート揺らし日暮れまで　　　　　　千恵

バリダンス手もしなやかに星月夜　　　　　　　淳子

椰子畑まるで影絵や秋の夕　　　　　　　　　　淳子

どの岩も磨き削らる秋出水　　　　　　　　　　淳子

走り蕎麦店も静まる昼下がり　　　　　　　　　敬子

手水舎の音も静まる豊の秋　　　　　　　　　　敬子

秋湿り重き影落つ廃墟かな　　　　　　　　　　敬子

天高し遊子の声は天に散る　　　　　　　　　きなこ

皿の梨デッサンしてみるひとりの夜　　　　　きなこ

ため息をまた繰り返し冬支度　　　　　　　　きなこ

うたた寝や障子を漏れし陽の光　　　　　　　イサ子

彼岸花裏戸の道に灯とも　　　　　　　　　　イサ子

降り続く庭に茸の群れ集ふ　　　　　　　　　イサ子

晩秋の夜を劈きてフラメンコ　　　　　　　　かずみ

秋麗ら船追ふ鳥の四羽五羽と　　　　　　　　かずみ

釣瓶落しすとんと沈む地中海　　　　　　　　かずみ

玉響に果報もたらす秋の虹　　　　　　　　　恵利奈

カノン聴く良夜に想ふ母校かな　　　　　　　恵利奈

光芒を背に渡りゆく雁の群れ　　　　　　　　恵利奈

秋晴れや湘南の海富士遠く　　　　　　　　　美和子

鈴なりの柿色づいて郷の色　　　　　　　　　美和子

台風の会話かき消す夜もすがら　　　　　　　美和子

部屋の隅ただ彷徨うて残る虫　　　　　　　　　由美

月照らす愛犬の首輪のほこり　　　　　　　　　由美

長き夜をネットにかまけゐる微酔　　　　　　　由美

世に好かれ世に疎まれて曼珠沙華　　　　　　　一広

魔女ばかりゐるハロウィンはつまらなし　　　　一広

詩心は花野に仰臥風に聞く　　　　　　　　　　一広

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