シャーロット俳句勉強会―5月度作品抄 2020

初夏の季節、米国では昔から「エプリルシャワーにメイフラワー」という

言葉があります。でも今年は5月になっても連日雨の日が続いいています。

日本の梅雨期の様ですが、蒸し暑さは全く無く肌寒い雨の日々です。

カリブ海を北上した台風が米国南東部海岸をさ迷っているからです。

この雨は日本の梅雨季の句を作るにはまたとない機会です。海外での俳句

作りのネックは日本との気候の違いにあります。

晴れ上がった夏空には勇気と明るさがありますが、静かに降り続く雨には

又別の詩情をかきたてるものがあります。

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―5月の作品抄ですー

ことごとく目の高さなりいちご狩り      清裕

亡き父の表札のまま夏来たる         清裕

雑草へ恵み等しく穀雨かな          清裕

公園の草深々と夏に入る           千恵

軽々と朝陽に弾む白き靴           千恵

服干して思わずかぶる夏帽子         千恵

五月雨るる不要不急の事ばかり        美幸

母の日や鳥さへ里へ飛ぶものを        美幸

時流る窓いっぱいに若葉風          美幸

直線に空を突っ切り夏つばめ         淳子

夏の蝶静かに羽を閉じしをり         淳子

ひらひらとどの花さがす夏の蝶        淳子

駅弁も現地直販夏の夢            敬子

リハビリの母を撮影五月かな         敬子

亡き祖母の思い出の帯衣更          敬子

携帯電話床で響けり籐寝椅子        かずみ

愛艇のエンジン音や夏兆す         かずみ

アマゾンの虹は水面に沈みけり       かずみ

鵜篝の輝く川面船の影           恵利奈

母の日や裁縫箱のレトロ調         恵利奈

雉鳩の鳴く声響く夏木立          恵利奈

さくらんぼ会話もソーシャルデイスタンス  イサ子

風吹けば屋根に届く柿若葉         イサ子

垣根越し夕陽に映える柿若葉        イサ子

春愁ふ意図せぬ事がまた起きぬ        桜子

引越し荷物箱のままなり夏来る        桜子

洗濯のたたみてぬくし陽のかほり       桜子

新緑や重ねる縁パレットに         美和子

散歩道ぬれた靴先青時雨          美和子

誕生のローソク一気に夏の風        美和子

夏空や続け母待つ郷までも          由美

ビアガーデン三密守る距離保ち        由美

悲鳴聞く微動だにせぬ守宮かな        由美

古井戸の深さどれほど青蜥蜴        モトコ

母の日や耳の形は似ておらず        モトコ

蛇苺にはわかるかも知れぬ愚痴          モトコ

園丁の手で確かむる穀雨かな         一広

水を打つ孤独のこころ慰めり         一広

渡し舟棹の乱せし朧月            一広

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鈴木一広(Kazuhiro Suzuki)

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