初夏の季節、米国では昔から「エプリルシャワーにメイフラワー」という
言葉があります。でも今年は5月になっても連日雨の日が続いいています。
日本の梅雨期の様ですが、蒸し暑さは全く無く肌寒い雨の日々です。
カリブ海を北上した台風が米国南東部海岸をさ迷っているからです。
この雨は日本の梅雨季の句を作るにはまたとない機会です。海外での俳句
作りのネックは日本との気候の違いにあります。
晴れ上がった夏空には勇気と明るさがありますが、静かに降り続く雨には
又別の詩情をかきたてるものがあります。
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―5月の作品抄ですー
ことごとく目の高さなりいちご狩り 清裕
亡き父の表札のまま夏来たる 清裕
雑草へ恵み等しく穀雨かな 清裕
公園の草深々と夏に入る 千恵
軽々と朝陽に弾む白き靴 千恵
服干して思わずかぶる夏帽子 千恵
五月雨るる不要不急の事ばかり 美幸
母の日や鳥さへ里へ飛ぶものを 美幸
時流る窓いっぱいに若葉風 美幸
直線に空を突っ切り夏つばめ 淳子
夏の蝶静かに羽を閉じしをり 淳子
ひらひらとどの花さがす夏の蝶 淳子
駅弁も現地直販夏の夢 敬子
リハビリの母を撮影五月かな 敬子
亡き祖母の思い出の帯衣更 敬子
携帯電話床で響けり籐寝椅子 かずみ
愛艇のエンジン音や夏兆す かずみ
アマゾンの虹は水面に沈みけり かずみ
鵜篝の輝く川面船の影 恵利奈
母の日や裁縫箱のレトロ調 恵利奈
雉鳩の鳴く声響く夏木立 恵利奈
さくらんぼ会話もソーシャルデイスタンス イサ子
風吹けば屋根に届く柿若葉 イサ子
垣根越し夕陽に映える柿若葉 イサ子
春愁ふ意図せぬ事がまた起きぬ 桜子
引越し荷物箱のままなり夏来る 桜子
洗濯のたたみてぬくし陽のかほり 桜子
新緑や重ねる縁パレットに 美和子
散歩道ぬれた靴先青時雨 美和子
誕生のローソク一気に夏の風 美和子
夏空や続け母待つ郷までも 由美
ビアガーデン三密守る距離保ち 由美
悲鳴聞く微動だにせぬ守宮かな 由美
古井戸の深さどれほど青蜥蜴 モトコ
母の日や耳の形は似ておらず モトコ
蛇苺にはわかるかも知れぬ愚痴 モトコ
園丁の手で確かむる穀雨かな 一広
水を打つ孤独のこころ慰めり 一広
渡し舟棹の乱せし朧月 一広
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鈴木一広(Kazuhiro Suzuki)
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