シャーロット俳句会 ~2016年5月作品集〜Charlotte, North Carolina

☆Charlotte Haiku Group (Japanese poetry) May, 2016 report☆

シャーロット俳句勉強会――5月度作品抄

海外会員の作品

薫風の水面に揺れる天守閣     未来

髪飾り今も付けたし藤の花     未来

かしは餅若葉のやうな手に持たせ  未来

白壁の続く道行くサンドレス    花水木

よくみれば赤い実ゆれる若楓    花水木

春の宵瀬戸内紅く染め上げて    花水木

藤の花空に吊るされたる如し    三日月

金景のまぶしき光琳燕子花     三日月

雪解川明日の命の音たてて     三日月

花水木ひときは白く事務所前    精孝

緑立つ山にも我が家の畑にも    精孝

玄関に小さき紙の鯉のぼり     精孝

 

シャーロット会員の作品抄

母の日や今年も花展のにぎはいて  桜子

母の日の花展によせる厚き礼    桜子

とりとめもなく話しては衣更    きなこ

すいかづら昨日の人にまた逢へり  きなこ

幾重にも向かう岸まで鯉のぼり   きなこ

香水の名残りかすかに人の過ぐ   イサ子

ベランダの日陰もとめて迷ひ猫   イサ子

サンドレス足のまぶしき少女行く  イサ子

幾たびも父を訪ねし蜷の道     由美

誤嚥せし父に内緒のかしは餅    由美

転居する父の背中に走り梅雨    由美

洗い髪うなじをかすめ背戸の風   かずみ

お代はりの声がうれしい豆ご飯   かずみ

思ひきり里の風吸ふ鯉のぼり    かずみ (*)

あの角を曲がればいつものかき氷  みどり

鮎釣りの微動だにせぬ杭に似て   みどり

はたた神二打と三打と鳴らしをり  みどり

行々子湖畔の朝を告げんとて    まい

春雷や里驚かせ過ぎにけり     まい

離れても同じ空なる遠花火     まい

成すことの心残しの花筏      一広

怪獣も城もあらはる夏の浜     一広

紫陽花の幸せ色に明日も雨     一広

(*)今月の一句

思ひきり里の風吸ふ鯉のぼり    かずみ

かずみさんは先月から病気のお父さんの看護で日本に居られます。こんな状況でも月度の作品をメールで送ってこられました。季節は5月、鯉のぼりが口をいっぱいにして里の風ではらんで空に泳いでいます。この光景を句にされましたが、実は里の風を腹いっぱい楽しんでおられるのはかずみさんに違いありませんね。物(目の前の鯉のぼり)を通しご自分心境を詠った今月に一句です。幸いお父さん回復とのニュース、来月は一緒に勉強ができます。