シャーロット俳句の会の皆さんの9月の作品紹介です。
流石に朝夕は秋を感じます。9月といえば正岡子規です。1867年9月松山で生まれ同じ9月に36歳という短い人生を閉じています。子規と言えば夏目漱石の名も浮かびます。お互い文学を志した同志ですが漱石が帰国する前に子規は他界します。意気消沈の漱石に子規の弟子高浜虚子が小説を進めます。そして生まれたのが「吾輩は猫である」です。お互い落語が趣味の二人、漱石は子規の郷里松山を舞台に明るい小説「坊ちゃん」を書いています。漱石は熊本で俳句指導、今も漱石顕彰「草枕」国際俳句大会が続いています。
子規は生涯に54ものペンネーム持ち、実は「漱石」はその一つなのです。子規はホトトギスの漢字名、口を赤くし血を吐く様に鳴くホトトギスに陽気な彼は肺患で血を吐くおれもホトトギスだと子規を俳号にしてしまいました。この明るさ、我々も頑張りましょう!
辞世の句“糸瓜咲いて痰のつまりし仏かな
辞世にちなんで子規忌は糸瓜(へちま)忌ともよばれています。
―九月の作品抄ですー
先を行く暦恨めし今朝の秋 清裕
新米を里の土産と甥の来る 清裕
新涼やカバンの隅に文庫本 清裕
駆けっこの子等の背にも牛膝 美幸
サルビアや友と走った野が浮ぶ 美幸
さはやかや風の波打つ旅最中 美幸
ハリケーン洗ひ落して茜雲 千恵
帰路の空郷思ひ出す盆の月 千恵
幾たびも確かむ時計夜の長き 千恵
迷ひ猫ドアを開ければ秋の風 淳子
秋風や調べは筝曲「砧」なる 淳子
蜂鳥の皆飛び去りて露時雨 淳子
公園の子らにも釣瓶落しかな 敬子
自転車や声も華やぐ秋うらら 敬子
厄日かな丹精の苗また失せて 敬子
秋の果に香りを足して故郷へ かずみ
虫の闇秒針の音も途切れがち かずみ
ハイファイブ滅多やたらの休暇明 かずみ
秋の野や二十歳の歌が口の端に 恵利奈
ため息と欠伸にも耐へ夜学生 恵利奈
ミシン鳴る卓布に込める秋の色 恵利奈
夜長かなゲームにかまけ夜明けまで イサ子
ジオラマの噴水も止め季節果つ イサ子
涼風や二の腕さらり通り過ぎ イサ子
新涼やウオーキングより日の始む 美和子
今年米少し少なく水加減 美和子
歳時記に読み耽る夜の鉦叩き 美和子
台風の行方睨みて旅支度 由美
語り合ふ母の背細き十三夜 由美
目で演技俳優の手に濁り酒 由美
天高しタップシューズを新調し モトコ
老いし 猫天寿を知るや夕月夜 モトコ
夕暮れや信号待ちの赤蜻蛉 モトコ
遠きほど思ひ出は濃し十三夜 一広
朝顔やこんなところに竹帚 一広
芒原道なき道が歩きたし 一広
★ ★ ★
お仲間募集: 俳句に興味のある方、俳句は初めての方も歓迎です。下記迄ご連絡下さい。
鈴木一広(Kazuhiro Suzuki)
Email:ka.yariho3182@gmail.com