寒暖差の激しい晩春から初夏、人間には堪える気候です。でも草花たち
は時来たりと、花を咲かせ緑の葉を揺らせます。草花と言えば、NHK の
朝ドラ「らんまん」のモデル、日本の植物学の父、牧野富太郎博士が浮
かびます。調べたところ、博士も俳句を詠んでおられました。
愛する草花たちの生き様を瞬時に切り取り、心に残す博士の姿が想像で
きます。今や世界に誇る日本文学の俳句、「目に写し心に留める」その
神髄の下、気後れすることもなく素直に詠める様になりたいと思います。
– 田中 敬子
布にすりし昔の里やかきつばた - 牧野 富太郎
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5月度の作品抄です
花束の脇役なれどかすみ草 清裕
プロ棋士の新茶一服勝ち筋へ 清裕
若葉風時に悪戯鳩の糞 清裕
掘り起こす土の匂ひや早苗月 千恵
五月雨や今一服と勧める茶 千恵
洗ひ髪眺めていたき夕日かな 千恵
武者人形大きな眼吾子に似て 美幸
白靴おろす3年振りの旅に向け 美幸
卯の花腐し荒れた庭にも降り続く 美幸
筍届く見直すけふのお献立 敬子
空豆の寒天の角すつきりと 敬子
巣立つ子の部屋に息吹の武具飾る 敬子
薫風や家族も忘れ森の道 美和子
伴侶待つ新樹の蔭のカーディナル 美和子
蠅除の既定の位置で果たす役 美和子
洗顔の水に教はる立夏かな イサ子
母の日や去年と同じ子のカード イサ子
微動だにしない蜥蜴に時忘れ イサ子
アマリリス花名問はれる生花展 桜子
母の日や手作り膳のおもてなし 桜子
さくらんぼフルーツ好みの友百寿 桜子
五月晴れ眼下の林雲のごと 澄江
薫風や大空青く雲ひとつ 澄江
荒南風や鉢植えの葉を皆飛ばし 澄江
峰々をこだまの走る山開き 一広
父の影次は母やと走馬灯 一広
先ず母に見せて頂く柏餅 一広
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鈴木一広(Kazuhiro Suzuki)
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